発見の遅れ

発達障害も身体的疾患と同様に、早期発見が望ましいとされます。子どもの頃から専用のトレーニングを受け続けると、成人した頃には障害を克服できるだけの社会適応能力が身に付いていることがあるからです。また完全克服は難しいとしても、会社の上司や同僚に自分の障害をきちんと説明することで、理解を得られる可能性が高まります。それに対して早期発見が叶わなかった場合、本人も障害の存在に気付くことなく、苦しみながら成人を迎えることになります。
発達障害が子どもの頃に発見されないケースは多くありますが、それらの共通項が判明しています。特に多いのが、周囲の思いやりです。子どもの頃は付き合う人と言えば、家族、友人、教育関係者くらいしかいません。つまり自分を大切に思ってくれる人しかいない環境で育つため、自分の言動を咎めたり、不審に思ったりする人が現れにくいのです。発達障害は重度の知的障害とは異なり、基本的な学習や生活に支障が生じないこともあります。そのため、周囲も少し我慢すればやり過ごすことが出来てしまい、発見が一層遅れることに繋がるのです。想像して下さい。テストの点数も平均レベルで、宿題もきちんと提出している生徒が友人とトラブルを引き起こしても、「子どもの喧嘩」と思い込んでしまうのは不自然な事ではないでしょう。発達障害の症状を単なる個性だと受け止めてしまうことも想像に難くありません。こうして成人になって問題が発覚するまで、一切気付かれないことが珍しくないのです。
では逆に成人すると何故気付く(気付かれる)のでしょうか。社会人ともなると、周囲の人は赤の他人です。空気を読めなければ、同僚も上司も注意したり、叱責したりします。それでも改善されなければ、人は離れていきます。時には解雇されることさえ生じ得ます。社会ではどのような職場でも、協調性やコミュニケーション能力が厳しく求められるのです。また仕事は学校の宿題とは異なり、受け身の姿勢でこなせるものではありません。自分で立案しなければならず、発達障害者にとっては初めての経験となりますから、この時点で気付く人も多いのです。

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