発達障害は人口に膾炙しているか

発達障害の認知度は、未だに高いとは言えない状況です。それでも昔に比べれば、話題にする人も増えているように思われます。数十年前であれば、その存在は医療関係者や教育関係者だけが知っているものでした。当時は症状が障害に起因するものだと気付きようがありませんでしたから、努力が足りないだの保護者の育て方が悪いだのと、発達障害児と保護者は非難されていたのです。もちろん現在でも障害の存在を知らない人は、同様の非難を躊躇わないことがあります。非難されても本人でさえ気付かないわけですから、そのまま社会人になってしまいます。障害者のための処世術を学ばない限り、どんなに意欲的に働いても、結果が出なかったり、人間関係が壊れたりするのは当然のことであり、最終的には退職しなければならなくなります。
退職するまで追い込まれて、ようやく自分が障害を抱えていることに気付いたとしても、すぐに楽になるわけではありません。発達障害について何の知識も持ち合わせていないわけですから、まずは勉強する必要があります。勉強を終えて、再就職を果たすと、今度は同僚や上司への説明が待ち構えています。同僚も発達障害について無知であることの方が多く、立派な病気であることを根気よく説明するしかありません。しかし言い訳だと見做されることも珍しくありませんから、結局孤立して再び退職せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。退職が繰り返されれば自尊感情は大きく低下し、努力と空回りで時間だけが過ぎてしまいます。
このような地獄を障害者に味わわせないためにも、発達障害に対する社会全体の認知度を高めなければなりません。いわゆる「引き籠り」と見做してきた人たちの中に、発達障害者が多数含まれるという事実が、我々の勉強不足を物語っています。

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